Partly cloudy with rain

奈落の底からサラリーマン。何とか部長をやってます。

初公判

初公判の日を迎えたらしい。
わたしは護送車に乗せられおそらく裁判所へと向かっている。
検察と裁判所は近い。
いつもの道のりで裁判所に到着したようだ。
被告人であるわたしは別室に通された。
そこは3畳ほどの部屋。
とても古く畳張り。
窓は一切ない。
重い扉を閉められると小さな監視窓が薄く開いている。
どうやらここで裁判の時まで待つらしい。
ここでは冷静に書いているがその時は、不安と閉塞感とで
過呼吸のような状態になってしまった。
しかし誰も助けてはくれない。
静かだ。
監視のためか看守の見回り。足音も静かだ。そして空調の音。
部屋には数冊の古い小説も置いてある。
しかし、読むような余裕などない。
この先、どうなるのか… 
裁判の時が来たようだ。
部屋を出され、裁判をする場所(どう言えばいいか分からない)に連行される。
手には手錠、腰には腰縄が縛られて自由が効かない。
テレビなどで知っているそれが目の前に広がる。
ただ、部屋自体そんなに大きくない。
傍聴席と言われる席もある。
わたしの事件はそんなに目立ったものではないと勝手に思っていたが
傍聴席はある程度埋まっている。
そして実際に裁判をするフィールドは左側にずいぶんと若い数人、右側に知った

ことのある顔。つまり弁護士が1人。
左側は若い男女の検察官が2人。
今まで調書を取り、取り調べをしてきた検察官ではない。
どうも役割分担があるらしい。
または、わたしの事件が簡単なので若い検事に任せたのか。

埋まっている傍聴席。そんなに席数はないが傍聴が趣味の人、法曹関係を勉強している学生、弁護士のなりたてなどもいるようだ。
席を見回すと、端の席に嫁、そして嫁のお母さんの顔が見えた。
手には手錠、腰には腰縄。

申し訳なさと情けなさでわたしは見た途端泣き崩れてしまっていた。
両側で支えている刑務官に抱き起こされて被告人席に座らされた。
と同時に腰縄と手錠を解かれた。
少しすると裁判官が入ってきた。
そして裁判が始まる。