びっくり箱と言われる地獄
被疑者から被告人となったわたし。
時が来たようだ。
何も教えてはくれないが、拘置所へ移送されるらしい。
留置場にいた知らない人たち。その人達ともお別れ。
改めて会うことはないと思う。
ここにいなければ知り合わなかった人たち。
犯罪者と聞かなければ親身になってくれたり、いい人たちに見えた。いざ、別れとなるとなんだか不安と寂しさが入り混じる。
全てが未知の世界。これからもずっと。聞いたって誰も教えてはくれない。
わたしは真っ暗闇の中にいる。
不安、逃避感、自責の念、苦しさ、切なさ、そして悲しさ。
今でも時に思う。
「死にたい」と。
このときは四六時中「死にたい」と考えていた。
拘置所への移送。
要塞のようなそして先進的な拘置所のようだ。
わたしは改めて持ち物検査、身体検査をされ、新たな部屋に入れられた。
ここでたまらなかったのは、洋服屋のフィッティングルームよりも狭い部屋に閉じ込められること。
自分の房から出ると面会の時や何かがある時の事あるごとに入れられる箱。
フィッティングルームでも小さいサイズに座るための板があり、外から鍵を閉められる。
内側の扉にはドアノブなどはない。
多大な不安からかジッとしていることが辛い。
動物園の動物のように常に動き回りながら気を紛らわしていたわたし。狭いところがとても苦手なわたしにはとても辛い空間と時間。
手持無沙汰。携帯電話なんてもちろんない。
「びっくり箱」とでも言っていたか、いつ開けてもらえるか分からない。
わたしには耐えるのが大変だった。