Partly cloudy with rain

奈落の底からサラリーマン。何とか部長をやってます。

年末年始と流れる時間の過ごし方

年が明ける。

知らない人々。
留置場で過ごすとは思いもよらなかった。

留置場での余暇と言えば、主に読書ということになる。
本を買ってもらって差し入れてもらう人。
官本と言われる警察署のものを借りて読むこと。
そして毎日入る新聞。
新聞は、取り調べなどに関わる事象があるので
関連した記事は、真っ黒に塗られ読めないようになっている。
その部分がはたして自分のものなのかどうかも分からない。
あとで分かったことだが、わたしの事件は報道に出ることがなく
新聞にも掲載されること、ネットに掲載されることも一切なかったとのことだ。
とある日の送致の日。
警察署から駐車場に出ると、たくさんの人々がいてカメラを構えていた。
わたしはびっくりした。
テレビで見たことのある情景だ。
犯人としてのわたしが目的なのか?
とても驚いていると、横にいた警察官は、わたしではなく一緒に送致される別の人だと
教えてくれた。

余暇の話に戻そう。
読み物以外には、タバコの時間、それと音楽の時間がある。
今は、違うと思うが、当時は1日2本までタバコを吸える時間があった。
タバコの時間は部屋の外に出て、階段の踊り場(ここも閉鎖されている空間だが)で
吸うことを許される。
わたしはタバコを吸わないが、気分転換で外に出ることがあった。
そして、音楽。
留置場の中は、当然無音である。
人の動く音、物が動くときの音。その程度の音しか聞こえない。
しかし、毎日夕方、一定の時間になると1時間だけ、音楽が鳴る。
おそらくCDをかけているだろう。
サザンの曲が流れるのだ。(警察署によってラジオが流れたりするのかもしれないが)
そして、いつもTSUNAMIの曲が流れるのだが、一定の場所で曲がスクラッチしてずっと
同じところを繰り返すという事態になる。
牢屋の中にいる人間のことなどどうでもいいのか、それば時間までずっと直すことなく
クラッチし続ける。
頭がおかしくなるのではないかと思うくらいだ。
しかし、唯一の音楽が流れる。
毎日限られた時間だけ。
そして年末。
別に紅白も見ないのだが、それこそ紅白を聴くこともなく
普通に21時に減灯して強制的に就寝となる。
翌朝も通常だ。
餅は出た気がするが定かではない。
浮世はこの期間のイベントごとが色々あるがここにはない。
家族はどうしているのだろう…
いつも考えているが、この時はより強く考えてしまっていた。
自分がしたことでこうなっている。
逃げたい。
死んででも家族の元に帰りたい。
出ることもできない。
死ぬこともできない。
今はただ審判を待つばかりなのである。