Partly cloudy with rain

奈落の底からサラリーマン。何とか部長をやってます。

弁護士という職業


留置場の部屋にいるある日、

留置の警官から呼びたしがかかり外に出された。

言われるがまま、留置場を出る。

わたしは、「きっと面会なのだろう」と思った。

案の定、面会の部屋に通された。

しかしアクリル板の向こうには見知らぬ青年が座っている。

名前を告げられ、「弁護士」であることを示された。

今、思うとどういう状況でこの場に来てくれているのかということは

分からない。ただ、事件を起こした容疑者は弁護士を付ける権利があり

また、弁護士を付けなければこの先、やり取りができない。

したがってお金を積める人は有能な「私選弁護人」を雇えるし

お金がない人は国が定めた、当番制の無償で頼める「国選弁護人」を

依頼することになる。

アクリル板の向こうにいるこの弁護士は、嫁が頼んできてくれたのか

また、当番弁護士なのか、この時は分からなかった。

弁護士との接見(面会)は一般の面会とは違い時間の制限がないらしい。

一般の面会が15分なのに対し、何時間でもいいわけである。

また、一般の面会の場合は、記録を取るまた関しする警官がいるのに対し

弁護士の接見は、それがないのだ。

 


「わたしに依頼しますか」と弁護士が言う。

弁護士の良し悪しなど分かるはずもない。

あとで分かることだが、高い金を積んで頼める「無罪引き受け人」のような弁護士もいると聞いた。

また、いわゆる「ヤメ検」と言われる検察を辞して弁護士になった人。

戦う相手が検察官になることから、検察の知り合い関係など、優位に働くことが期待できるらしい。

いずれにしても、こんな世界のことなど考えたこともない人間にとっては何が何やら分からない。

良いのか、悪いのかが分からないのだ。

このあとわたしは、東京第一弁護士会と東京第二弁護士会の名簿冊子(それ相応に厚い)を見てみたが

所属の弁護士事務所名と名前、住所、電話番号の文字列から良し悪しを判断することは難しいと思った。

ただ、このあとこの弁護士に頼むことになるが、それ以降、関わる別件での弁護士など  

この人種は信用ならないと認定している。

したがって、わたしはこの職業の人種が大嫌いになった。


話を戻そう。


概要を知ったアクリル板の向こうの青年は、「この事案は無罪になります」と言った。

わたしはその言葉を聞いて、暗闇にあった私から少しだけ光が射した感じがした。

 


これもあとで分かったこと、そして私の想像も含めてだが、国選の当番弁護に際し、

当番が回ってきた弁護士事務所。

そこの代表の弁護士が「この事案はシンプルだから君がやんなさい」と若手に委ねたのだろう。

弁護士といっても色々いるのだ。

わたしが今、直面しているのは刑事事件だ。いわゆる「刑法」によって判断される。

刑法と言っても強行犯、知能犯、盗犯などそれだけでも専門性があるのだ。

そして弁護士によっては、「民法」「商法」それぞれで得意分野があるのだ。

基本オールマイティに感じる「弁護士」だが、戦う相手に対する武器を間違ってしまうと

勝負にはならないのだ。

 


ずーっとあとに、依頼した弁護士を検索すると商法を得意とする企業顧問弁護士をしていた。

結局、そういうことなのだ。