眠れぬ夜
眠れない。
部屋の中。
みんな寝息をかいて寝ている。
慣れているのだろうか。
部屋の構造上、外は一切見えない。
ただ、この警察署は国道に面している。
夜中は、車の行きかう音だけが、外から漏れ聞こえてくる。
この日は、タイヤが水をはじいて走っているようだ。
シャーッという音が繰り返される。どうやら雨が降っている。
いろんな思いが駆けめぐる。
女々しさに拍車がかかる。
「死にたい・・・」
舌を噛んでみる。
自死をする方法はいまのところこれしかあるまい。
この時の感情は身勝手だ。
「現世にいる辛さから逃げたい」
そんな思いで舌をかみ続けた。
しかし少しの血が出て舌が腫れ上がるだけで死ぬことはできなかった。