Partly cloudy with rain

奈落の底からサラリーマン。何とか部長をやってます。

Break time【モンクマン】

昔から思うこと。

平日の朝、朝起きて出勤するまでの時間。

みなさんもやることはいろいろありますよね。

そして出勤までのタイムキーパーはテレビではないでしょうか?

タイムキーパー以外にも、朝は雨が降っているのか?

帰りはどうなのか?

電車の遅れはないのか?

せわしなく追われている朝の時間、ながらテレビの情報って重要ですよね。

そしてテレビにずっと張り付いて情報を取得しているわけでもない。

洗顔したりトイレに行ったり着替えをしたり。

だから、朝のルーティーンの中での個々のテレビのスケジュールって大事だと

思うのです。

テレビ局側だってそんなことを百も承知の助なので。短い時間で天気や遅延などの情報を入れてくれます。

それでもわたしは自分の行動パターンがテレビに引っ張られてしまいます。

そして、一段落した時間帯。

ここからが本格的なモンクマン。

いなくてもいい。いるとわずらわしい。しかしときに共感を呼ぶ。

その名は「モンクマン」

この一段落した時間帯。芸能ニュースの時間帯。

それも毎日のようにトップはヂャニーズネタ。

正直、芸能ニュースなんて事務所、タレント側したら無料でしてくれる

宣伝=パブリシティでしかない。

正直朝から見たくもないと思うのは、中年男のイヤミなのか。

そもそもの話、なぜにヂャニーズはそんなに人気があるのかいまだに全く

分からないし、そんなに取り上げることで視聴率につながるのかと思うと

どこの誰がそんなに熱心に見ているのか不思議でならない。

昔、たまたま新横浜に行ったとき、横浜アリーナでヂャニーズのイベントに

出くわした。

確かにすごい人数だったが、視聴率につながるような何百何千の人々では

なかろう。

そして、同じ人々のリピートもあるでしょう。

ヂャニーズ。

歌がうまいわけではない。

踊りだってすごいのか?

どこにヂャニーズの男の子たちに魅力があるのか、本当に知りたい。

集団催眠状態なんじゃなかろうか。

AKBも韓流もヂャニーズも見事な集団催眠のビジネスモデルを構築してしまった。

全然納得できないんだよなぁ。共感する人いません?

話がそれました。

朝のテレビ。

「じゃあチャンネル変えればいいじゃん」

その通り。

でもね、論点は、今さっき書いた内容が言いたかったモンクマン。

そして、もっと伝えなきゃいけない情報を優先して放送してほしいモンクマン。

脱出マジック

診察が来た。

慌てて施錠しようとしたが間に合わなかった。

が、革手錠の鍵は靴下に忍ばせた。

診察が始まると革手錠が外れていることに気づく。

看護師が言う「なんで外れてるの?」

そう言うと改めて施錠をされた。

施錠をする際は鍵の必要はない。

鍵が壁にないことにも気が付いていない。

このときは事なきを得た。

次の診察時。

一度は「まずいな」と思ったわたしは、改めて開錠することをためらった。

「次はバレる」

そう思ったからだ。

しかし自由の甘美は忘れられなかった。

「少しだけ」の気持ちで開錠していた。

そして、点滴の効果か、リラツクスができたようで、

私は眠りについてしまったようだった。

夢を見ているようだ。

渋谷の町のどこかの丘の上。

震災か何かがあってわたしは高齢者の救助に向かっている。

一人の老人を抱きかかえる。

「大丈夫ですか?こっちです」

手を取り移動する。

ただ、何かがジャマなのだ。

下腹部に手をやる。

「これがジャマで自由に逃げれない」

下腹部をいじっているのは尿管カテーテルを外そうとしていたようだ。

尿管カテーテルは器具がないと外れないのだ。

それを一生懸命引っ張っているようだ。

また、足が自由なおかげでわたしは立ち上がって部屋の中を歩いている

ようだ。夢遊病者のように。

そして、ぶつぶつ言いながら、ベットを引きずり歩きながら、カテーテルを引っ張っている。

そこでわたしは我に返った。

わたしの前には看護師たちと大勢の看守と警備隊。

集中治療室でわたしは取り囲まれている。

わたしはまだ、「助けなきゃ」と言っている。

看守は「分かったからベットに寝ろ!」という。

看護師は言う。

「また外れている。君はマジシャンか?」

引田天功を想像したのだろうか、脱出マジック。

その通りだ。囚われの身なのに毎回スルりと手錠を外しているのだ。

しかしマジックには種がある。

ゆるく入っていた靴下の中にあった鍵がタイミング悪く床に転がってしまった。

種明かしをされた看護師は「なるほどそういうことか」

そのあと、地獄が待っていた。

前に書いた「戒具」を身体中にされてしまった。

胴体部。コルセットのような形。生地は柔道着を厚くしたようなもの。

蒸れようが痒かろうが関係ない。

不自由な右手も手錠。

左手も手錠。左足もだ。

当初の不自由さがかわいいくらいに拘束をされてしまった。

これでまた、終わりのない地獄が始まってしまった。

100万円あげるからこのボタンを押してみないか?

無の5億年を過ごす地獄。

そのころ、こんな話は知らなかった。

最近この話を知り、拘置所での集中治療室での無の地獄を思い出してしまった。

やればできる

 

あるとき、わたしはまた悪さをする。

とにかく動けないのだ。

このままだと床擦れをおこすのではないか。

お袋の最後を思い出していた。

なにか心配になる。

「このままでは右腕が壊死をして右腕上腕部から切断」

「もっと壊死がひどくなるようなら命を落とす」

などと言われても、それでいいと思っていた。そして、早く死にたいとも

考えていたのに、お袋の末期にずっと仰向けに寝ていたせいで、後頭部はうっ血し

白い枕は血で染まり、身体も背中がうっ血してひどくかわいそうな状態だったから

「あれはイヤだ」とまったく道理のいかない感情になってしまっていた。

そうなると動けないと思うと無償に動きたくなった。

看護師が足首に革手錠を施しているときに見ていた。

鍵は磁石で開けることを。

車に詳しい方なら同じような仕組みをご存じだろう。

防犯のため、アルミホイールに磁石の鍵があり、丸い磁石を上手に当て回すと開錠ができるものを。

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革手錠した際、病棟の看護師は鍵の部分を壁にペタッとくっつけたのだ。

「あれが鍵だ」

ここはあまり見廻りはない。

手錠はベットとつながれている。

点滴のスタンドとベットを少しずつ少しずつ、それは器用に壁に近づける。

時間はたっぷりあるのだ。

どのくらい時間がかかったのだろうか。

首尾よく壁にたどり着き鍵をゲットできた。

そのまま、ゆっくりと元の位置にベットを戻す。

また、気の遠くなるような移動。

定位置の部屋の中央に戻った。

自由の利く右腕。

指の感覚はほとんどない。

少しだけ動く右手小指と薬指に磁石の鍵を持たせる。

ただでさえ動けない。そのうえ、不自由な指。指がつりそうだ。

何度も床に落としてしまう。

そのたびに苦労してアクロバット曲芸を繰り返した。

そしてやっと革手錠の鍵にたどり着き外すことに成功した。

右足が自由になった。

「自由ってこんなに素晴らしいものなのだ」

「やればできる」

そのときはそんなふうに思ったものだ。

何の変化もない部屋でのわたしにとっての変化だったのだ。

無限地獄の集中治療室


翌日、わたしは病棟に入院となった。

そもそも、元の房にはいられない。

部屋が惨状の現場のようになったからだ。

 

ちゃんとした病院の施設が拘置所内に用意されている。

その病棟の中でもわたしはICU、集中治療室へ入れられてしまった。

集中治療室は広い。独居とは違う。

この広い集中治療室の中央にわたしが一人だけ。

いろいろな機材があるようだ。

廊下側はすべて窓。しかし、すべてカーテンで閉められている。

部屋の真ん中にベッドがある。

様々な点滴。

腕からの点滴だと間に合わないらしい。

鎖骨の脇から針を刺される。

トイレはない。

おしっこを出すために「尿管カテーテルを入れられる」

入れられると常にトイレに行きたい衝動に駆られる。

もう人生において二度とされたくない施術。

そして紙オムツをされた。

これで大も小も出るものについてはフォローをされた。

さらに左腕は手錠をされた。ベットの太いパイプと接続されている。

右足首には革手錠がされた。

対角上でわたしは施錠をされた。

これでわたしは、ほとんどの動きを封じられたわけだ。

この状態で1日中なのだ。

診察の時間以外は誰もこない。点滴で栄養を入れられているので

食事もない。

ずっと点きっぱなしの蛍光灯と変化のない天井。

それこそ昼と夜とさえ分からない。

廊下を歩いているであろう、足音。それと空調の音。

物事の変化はそれだけ。

そして点滴の成分に入っているのか、ときどき眠りに落ちる。

高橋幸宏さん逝く


 

高橋幸宏さんが亡くなったニュースを目にした。

高橋幸宏さんといえばイエローマジックオーケストラYMO)のドラムとボーカル担当。

まだ子供の頃のわたし。

音楽といえばアニメ音楽かヒーローもの音楽。

フィンガーファイブ、キャンディーズ、ピンクレディ、天地真理などのアイドル音楽。

それはそれで日本の音楽は優れていたと今でも思う。

そしてわたしもせいちょうしてくるとアリスやオフコース贈る言葉、なんて聴いていた。

そしてまだ小学生だったわたしも楽器を手にする。

中学にあがるとわたしを取り巻く音楽シーンは、変わってくる。

アイドルはイヤ。フォークもイヤ。

聴くものがなくなってくる。

そこに現れたのがYMO

確か偶然NHKの特番を見たとき、3人の人が赤い装束に包まれインタビューされている。

インタビューされるがまともに返さない。

喋らないのだ。

「なんだ?この人たち」と思った。

そして演奏場面。曲は「ライディーン

スゲー曲だと思った。ドラムが細かくて速くて人間業には思えなかった。

そこからわたしはYMOに傾倒していった。

そしてYMOでもドラム担当でライディーンを作曲した高橋幸宏さんが1番のお気に入りとなった。

わたしの人生のお気に入りの音楽シーンの最初のページを書いてくれたのが、高橋幸宏さんだったのだ。

その後、わたしは並行して高中正義さん、RCサクセションなどを聴いていく。

特に高中正義さんは元、サディスティックミカバンドのメンバー。

そこには高橋幸宏さんもいた。

何かわたしの音楽センスは間違ってないみたいな勘違いをしたのを覚えている。

そんな高橋幸宏さん、

2年前に病気になられた。

再び戻ってドラムを叩く姿を想像していた。

しかし叶わない。

類い稀な音楽センス、そして人民服やテクノカットなどを生み出したファッションセンス。

素晴らしい才能を持って現世で活躍してこられた。

喜びや楽しさが多い人生だったのではと想像したくなる。

羨ましい限りでもあった。

元々馬車馬のように働くタイプには見えなかったけど

安らかに眠っていただきたい。

わたしの音楽シーンの礎をいただいてありがとうございました。

ご冥福をお祈りします。

モンクマンあらわる【路線バスの醜態】



いなくてもいい。いると煩わしい。

しかし、ときに共感を呼ぶ「モンクマン」

家から最寄りの駅まで徒歩約20分。

距離にしておそらく1.6kmくらいか。

電車に乗り、会社の最寄駅から会社まで徒歩約16分。

それも急な坂路がいくつもあり、歩くととても難儀。

坂路を避けると周りをぐるりとくるので約20分。

健康には良いかもしれない。

しかし、晴れの日ばかりではない。散歩気分で

「今日は、雨だからやめとこう」とはいかぬ。

距離にしてやはり1.6kmくらいか。

そんなこんななのでしんどいとき(毎日のようにしんどい空気感を醸すが)は

会社最寄駅から路線バスに乗ることとなる。

まぁほぼかこつけて毎日乗ってしまうわけだ。

バス会社は全国的に経営が思わしくない且つ、乗務員の確保もままならない。

わたしが利用する当該路線。

駅を出発し、住宅地を回り駅に戻ってくる循環バスなのだ。

大型バスの乗員数は40から多くて50人。

朝夕のダイヤは1時間に5本程度。

そして循環して回って来て到着するわたしの乗るバスから降りてくる乗客は毎回

満車状態からの降車。

つまり、経営が厳しいバス会社の中で、このコンディションの系統バスはドル箱路線と

言って良いのである。

しかし、年末の平日から停留所にお達しを貼って周知している。

「乗務員確保の難しさとコロナの影響により当面の間、休日ダイヤでの運行」と。

まぁ、それ自体は仕方ない。

だが、このバス会社の運行系統。

近くの営業所は通常ダイヤでの運行なのだ。

そこは当該路線よりも閑散としている路線。

バスが間引きされるからバスに乗るのにストレスがかかる。

だって来ないから。

だから仕方なく歩く。

こういった行動を取る乗客も少なくない。

何か間違ってる気がする。

経営的に他から応援してドル箱路線を通常運行させるべきでは?

別にいいけど。

もう一つ。

基本。路線バスなんて大嫌い。

だって時間通りでは来ないから。

しかし、わたしが乗る停留所は起終点。

時間を調整できる停留所なのだ。

通過の停留所は仕方あるまい。道路事情という不可抗力がある。

でも起終点なのだ。

電車駅高架から停車しているバスが見える。

次は30分発だ、あと5分あるから乗れるな。

そんなことを思った矢先、バスは走り出して行ってしまった。

ここ何日も同じ。

当然時刻表は確認している。

こんなこともあった。

バスに乗車した。

このバスの発車時間は40分だ。

あと3分あるのか…

思うや否や、扉を閉めて走り出す。

なんなの。

質の悪い輩なの。

だから路線バスなんてキライなんだよ。

モンクマンの襲来

 

 

 

 

黒い血と腱

わたしは思わず、部屋にある「報知器」を押した。

ここで書く「報知器」は、火災警報器などではない。

部屋の中と外とでは基本、こちらからの発信手段がないのだ。

大声は出せない。ましてや自ら外に出ることも出来ない。

そのため各部屋には小さなボタンが壁に備わり、それを押すこと部屋の外にランプが付き看守が気づく。

しばらくすると看守が来てくれるのだが、意地悪い看守はなかなか来てくれない。

この報知器は房の中にいる者にとっては命綱にもなる。

ほどなくして、看守が来てくれた。

小窓から「なんだっ」と聞く。夜中なのだ。

「すいません。血が止まりません」

布団や畳、あたり一面、黒い血で覆われている。


看守もびっくりするほどの黒い血の海。

看守も慌てたのか、そのあと何人もの看守を引き連れ房の扉を開け(扉を開けるには2人以上が必要)

わたしを病棟へと連れていく。

拘置所施設内にも先生がいる病院がある。それを病棟と呼んでいる。

24時間体制で先生が詰めている。

わたしのその状況を見た先生も驚いている様子だった。

先生は、「こりゃ、腕切断だ」という。

大げさでなくて本当にそうなると思った。

利き腕である腕。

ヘタの横好きであったギターはもう持てないな。

そんなことを思っていた。「そしてもう死んでもいいんだ」とも。

先生は自分の腕をまくり上げて、わたしの腕を両手で掴むと、絞り出すように傷口に向かって滑らせる。

下に置いてあるバケツにはおびただして黒い血。

臭いがひどい。

傷口はひどい。

開口部を広く切って開創器で開ける。

中はほぼ、真っ黒である。

そこに4、5本の黒白い棒。

右手の5本の指の感覚はほとんどない。

かろうじて小指、薬指の第二関節と第一関節が動く。

動かしてみる。

2本の棒が前後する。

これは指の腱なのだ。

映画で見た「ターミネーター」か「ロボコップ」を見ているようだ。

だが、これは現実。

ひととおりの施術をしたあと先生は、紙オムツのパンパースを出してきて1本の帯にするように

ハサミを入れた。

血が止まらないのだ。吸水性に優れた紙オムツをガーゼと包帯代わりにわたしの右腕全般をグルグル巻きにする。

巻いているそばからパンパースは黒く染まってしまう。

そんな作業を繰り返しわたしは、部屋に戻された。